WordPressを運営するサーバーには、一般的なレンタルサーバーのほか、AWSやGoogle Cloudなどのクラウドサーバーを利用する方法もあります。
クラウドサーバーは、必要に応じてリソースを拡張しやすく、サーバー構成の自由度が高いことが特徴です。一方で、レンタルサーバーよりも構築や運用に知識が必要になる場合があります。
そのため、WordPressを運営するからといって、必ずしもクラウドサーバーを選ぶ必要はありません。
この記事では、WordPressで利用する場合のクラウドサーバー・レンタルサーバー・VPSの違いや、クラウドサーバーのメリット・デメリットを解説します。
AWS・Google Cloud・Microsoft Azureなどの主なサービスも紹介しますので、自分のサイトにクラウドサーバーが必要かどうか判断する際の参考にしてください。
WordPress向けクラウドサーバー・レンタルサーバー・VPSの違い
WordPressを設置するサーバーには、レンタルサーバーのほか、VPSやクラウドサーバーを利用する方法があります。
いずれもWordPressを運営できますが、サーバー構成の自由度や管理する範囲、料金体系などが異なります。
一般的な違いを整理すると、次のとおりです。
| 比較項目 | レンタルサーバー | VPS | クラウドサーバー |
|---|---|---|---|
| 始めやすさ | 高い | 低め | サービスによる |
| サーバー構成の自由度 | 低め | 高い | 高い |
| リソースの拡張 | プラン変更が中心 | プラン変更が中心 | 柔軟に変更しやすい |
| 料金体系 | 定額制が中心 | 定額制が中心 | 従量課金などサービスによる |
| サーバー管理 | サーバー会社が行う範囲が広い | 利用者が行う範囲が広い | サービスによる |
| WordPressの導入 | 簡単インストール対応が多い | 自分で構築する場合が多い | 簡単に導入できるサービスもある |
一般的なWordPressブログや会社のホームページであれば、レンタルサーバーは導入や管理の負担を抑えやすい方法です。
一方、サーバー構成を細かく変更したい場合や、アクセス量に応じてリソースを柔軟に拡張したい場合には、VPSやクラウドサーバーが選択肢になります。
クラウドサーバーとレンタルサーバーの違い
レンタルサーバーは、サーバー会社が用意した環境を利用するサービスです。
WordPress簡単インストールや無料SSL、自動バックアップなどがあらかじめ用意されているサービスが多く、サーバーに詳しくなくてもWordPressを始めやすいことが特徴です。
ただし、利用できるCPUやメモリ、サーバー構成などは提供会社が決めた範囲内となるため、自由に変更できる範囲は限られます。
WordPressとレンタルサーバーの基本的な関係については、「WordPressにレンタルサーバーは必要?ドメインとの関係も解説」で詳しく解説しています。
クラウドサーバーは、クラウド上に用意されたコンピューティング・ストレージ・データベースなどのリソースを必要に応じて組み合わせて利用できます。
アクセスの増加に合わせてリソースを拡張したり、用途に合わせてサーバー構成を変更したりしやすいことが特徴です。
ただし、クラウドサービスには利用者自身でサーバーを管理するものから、インフラ管理の多くをサービス側に任せられるものまであります。そのため、クラウドサーバーだから必ず高度なサーバー管理が必要になるとは限りません。
なお、wpX Speedのように「クラウド型レンタルサーバー」と呼ばれるサービスもあります。名称に「クラウド型」とあっても、利用者がAWSやGoogle Cloudなどのクラウド環境を自分で構築するサービスとは運用方法が異なります。wpX Speedの料金や特徴については、「wpX Speedの料金は?W1~W7の違い・特徴を解説」で詳しく紹介しています。
クラウドサーバーとVPSの違い
VPS(Virtual Private Server)は、1台の物理サーバーを仮想化し、それぞれの利用者に独立した仮想サーバー環境を割り当てるサービスです。
共用型のレンタルサーバーより自由度が高く、OSやサーバーソフトウェアなどを自分で設定できるサービスが一般的です。
クラウドサーバーも仮想化されたサーバー環境を利用しますが、必要に応じてCPUやメモリなどのリソースを変更したり、データベースやストレージなどのクラウドサービスと組み合わせたりしやすい点に違いがあります。
一方、VPSはあらかじめ決められたプランからCPU・メモリ・ストレージ容量などを選ぶサービスが多く、料金も月額固定になっているケースが一般的です。
WordPressを自由な環境で運営したいだけであればVPSも選択肢になりますが、アクセス量の変化に対応した拡張性や、複数のクラウドサービスを組み合わせた構成が必要な場合はクラウドサーバーが適しています。
WordPressでクラウドサーバーを使うメリット
WordPressでクラウドサーバーを利用する主なメリットは、リソースを拡張しやすく、サーバー構成の自由度が高いことです。
一般的なレンタルサーバーより設定や管理の自由度が高いため、アクセス規模やサイトの用途に合わせて柔軟な構成を取りやすくなります。
アクセスに合わせてリソースを拡張しやすい
クラウドサーバーは、CPUやメモリなどのリソースを必要に応じて変更しやすいことが特徴です。
たとえば、通常時は小規模な構成で運用し、アクセスが増える時期に合わせてリソースを増やすといった対応ができます。
一般的なレンタルサーバーでも上位プランへの変更はできますが、クラウドサービスではより細かくリソースを調整できる場合があります。
アクセス数の変動が大きいサイトや、将来的な拡張を前提にしたWordPressサイトでは、この柔軟性がメリットになります。
サーバー構成の自由度が高い
クラウドサーバーでは、OSやWebサーバー、データベースなどを用途に合わせて構成できます。
一般的なレンタルサーバーは提供会社が用意した環境を利用するため、利用者が変更できる範囲には限りがあります。
一方、クラウドサービスでは、WordPressの運用方法に合わせてサーバー構成を調整しやすくなります。
特定のソフトウェアを利用したい場合や、一般的なレンタルサーバーでは対応しにくい構成が必要な場合には、クラウドサーバーが選択肢になります。
ほかのクラウドサービスと組み合わせやすい
クラウドサーバーは、同じクラウド事業者が提供するデータベースやストレージ、CDNなどのサービスと組み合わせやすいこともメリットです。
たとえば、Webサーバーとデータベースを分けたり、画像やバックアップデータを別のストレージへ保存したりする構成も可能です。
WordPress単体を動かすだけであれば、このような構成は必須ではありません。
ただし、大規模サイトや高い可用性・拡張性が求められるサイトでは、複数のクラウドサービスを組み合わせられる点が大きなメリットになります。
WordPressでクラウドサーバーを使うデメリット
クラウドサーバーは自由度や拡張性が高い一方で、一般的なレンタルサーバーよりも設定や運用が複雑になりやすい点に注意が必要です。
特に、WordPressブログや小規模な会社サイトでは、クラウドサーバーの機能を十分に活かせず、管理の負担だけが増える場合もあります。
構築・運用にサーバーの知識が必要になる
クラウドサーバーでは、利用するサービスや構成によって、OSやWebサーバー、データベース、セキュリティなどを自分で設定する必要があります。
一般的なレンタルサーバーでは、WordPress簡単インストールや無料SSL、自動バックアップなどがあらかじめ用意されていることが多く、サーバー側の設定を意識せずにWordPressを始められます。
一方、クラウドサーバーでは、構成によって利用者が管理する範囲が広くなるため、トラブル発生時の対応にも一定の知識が必要です。
ただし、マネージド型のサービスやWordPress向けの簡単な構築方法を利用すれば、管理負担を軽減できる場合もあります。
利用料金を把握しにくい場合がある
一般的なレンタルサーバーは、月額料金や契約期間ごとの料金があらかじめ決まっているサービスが中心です。
一方、クラウドサービスでは、仮想サーバーの稼働時間やストレージ容量、データ転送量などに応じて料金が変わる従量課金を採用している場合があります。
利用するサービスを増やしたり、アクセス数やデータ転送量が増えたりすると、料金も変動します。
そのため、毎月の費用を一定にしたい場合は、レンタルサーバーのほうが料金を把握しやすいことがあります。
サーバーの管理範囲が広くなる
クラウドサーバーでは、自由に設定できる範囲が広い分、利用者側で管理する項目も増える場合があります。
たとえば、OSやソフトウェアの更新、アクセス制御、バックアップ、障害対策などを構成に応じて検討する必要があります。
設定の自由度が高いことはメリットですが、WordPressを運営するだけであれば、必要以上に管理項目を増やすことにもなりかねません。
サーバー管理に時間をかけたくない場合や、WordPressの運営そのものに集中したい場合は、管理機能があらかじめ用意されたレンタルサーバーのほうが利用しやすいでしょう。
WordPressで利用できる主なクラウドサービス
WordPressをクラウド環境で運営する場合は、AWSやGoogle Cloud、Microsoft Azureなどが利用できます。
それぞれ複数の構築方法が用意されているため、サイトの規模や必要な機能、管理できる範囲に合わせて選ぶことが重要です。
AWS
AWS(Amazon Web Services)では、Amazon EC2などを利用してWordPressを構築できます。
Amazon EC2は、AWS上に仮想サーバーを作成できるサービスです。OSやサーバー構成を用途に合わせて設定できるため、自由度の高いWordPress環境を構築できます。
また、より簡単にWordPressを始めたい場合は、Amazon Lightsailも選択肢になります。
LightsailはVPSとして提供されており、WordPressがインストールされた環境を作成できるWordPress用ブループリントが用意されています。インスタンスプランには、CPUやメモリ、SSDストレージ、データ転送量などが含まれています。
AWSでWordPressを運営する場合は、自由度を重視するならEC2、よりシンプルに始めたい場合はLightsailなど、用途に合わせてサービスを選べます。
Google Cloud
Google Cloudでは、Compute Engineを利用してWordPressを構築できます。
WordPressをCompute Engineの仮想マシンへワンクリックでデプロイできる方法が用意されており、低~中程度のトラフィックのサイト向けとして案内されています。参考:Google Cloud上のWordPress公式ページ
そのほか、Google Kubernetes Engine(GKE)とCloud SQLを組み合わせる構成や、Cloud Runを利用する構成もあります。
サイトの規模や必要な拡張性に応じて複数の構成を選べるため、柔軟性が高いことが特徴です。
一方、利用するサービスが増えるほど構成や料金も複雑になるため、WordPressを運営するだけであれば、必要な構成を事前に確認しておく必要があります。
Microsoft Azure
Microsoft Azureでは、WordPress on App Serviceを利用してWordPressサイトを構築できます。
Azure App Serviceはマネージド型のサービスで、WordPressの実行環境に加えて、Azure Database for MySQLなどのAzureサービスを組み合わせて利用できます。
OSやPHP、NGINXなどの更新を自動化できるほか、ステージング環境やセキュリティ関連の機能も利用できます。
また、用途によってはAzure Virtual MachinesやAzure Kubernetes Service(AKS)などでWordPressを構築することも可能です。
インフラ管理の負担を抑えながらAzure上でWordPressを運営したい場合は、WordPress on App Serviceが主な選択肢になります。
WordPressはクラウドサーバーとレンタルサーバーのどちらを選ぶ?
WordPressを運営する場合、必ずしもクラウドサーバーを選ぶ必要はありません。
一般的なブログや会社のホームページであれば、WordPress簡単インストールや自動バックアップなどが用意されたレンタルサーバーのほうが、導入や管理の負担を抑えやすいでしょう。
一方、大規模なアクセスへの対応や特殊なサーバー構成が必要な場合は、クラウドサーバーが適しています。
クラウドサーバーが向いているケース
クラウドサーバーは、次のようなケースに向いています。
- アクセス量に応じてCPUやメモリなどを柔軟に変更したい
- 一般的なレンタルサーバーでは対応できない構成が必要
- データベースやストレージなど複数のクラウドサービスを組み合わせたい
- 大規模サイトやアクセス数の変動が大きいサイトを運営する
- 必要なサーバー構成や運用体制を用意できる
クラウドサーバーは自由度と拡張性が高いため、サイトの規模や用途に合わせて細かく環境を構築したい場合に適しています。
ただし、必要以上に複雑な構成にすると、管理の手間や料金が増える可能性があります。クラウドサーバーの機能が本当に必要かを確認したうえで選ぶことが重要です。
レンタルサーバーが向いているケース
レンタルサーバーは、次のようなケースに向いています。
- WordPressブログを始めたい
- 会社のホームページや小~中規模のWebサイトを運営したい
- サーバーの設定や管理にできるだけ時間をかけたくない
- 毎月のサーバー料金を把握しやすくしたい
- WordPress簡単インストールや自動バックアップなどを利用したい
一般的なレンタルサーバーでは、WordPressの運営に必要な機能があらかじめ用意されているため、サーバーに詳しくなくても始めやすいことが特徴です。
特別なサーバー構成や大規模な拡張性を必要としない場合は、まずレンタルサーバーを検討するとよいでしょう。
WordPress向けレンタルサーバーを比較したい場合は、「WordPress向けレンタルサーバーおすすめ10選|料金・機能を徹底比較」も参考にしてください。
まとめ
WordPressは、レンタルサーバーだけでなく、AWSやGoogle Cloud、Microsoft Azureなどのクラウドサービスでも運営できます。
クラウドサーバーは、リソースを拡張しやすく、サーバー構成の自由度が高いことがメリットです。一方で、構成によってはサーバーの設定や管理に知識が必要になり、料金も把握しにくくなる場合があります。
一般的なWordPressブログや会社のホームページであれば、WordPress簡単インストールや自動バックアップなどが用意されたレンタルサーバーのほうが、導入や管理の負担を抑えやすいでしょう。
大規模なアクセスへの対応や特殊なサーバー構成、高い拡張性が必要な場合は、クラウドサーバーも有力な選択肢になります。



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