WordPressを利用するには、PHPやデータベースなど、サーバー側が一定の要件を満たしている必要があります。
レンタルサーバーを利用する場合は、WordPressに対応した環境があらかじめ用意されていることが多いですが、自分でサーバー環境を確認する場合や、古いサーバーから移行する場合には、WordPressの推奨環境を確認しておくことが大事です。
この記事では、WordPressを動かすために必要なPHP・MySQLなどのサーバー要件をはじめ、OSやメモリの考え方、PostgreSQLへの対応についても解説します。
WordPressのサーバー要件
WordPressを利用するには、サーバーがPHPやデータベース、HTTPSなどの要件を満たしている必要があります。
WordPress公式が現在推奨している主なサーバー環境は、次のとおりです。
| 項目 | 推奨環境 |
|---|---|
| PHP | 8.3以上 |
| データベース | MariaDB 10.11以上 または MySQL 8.0以上 |
| HTTPS | 対応必須 |
| Webサーバー | ApacheまたはNginxを推奨 |
一般的なWordPress対応のレンタルサーバーでは、これらの環境があらかじめ用意されていることが多いため、利用者が自分でPHPやデータベースをインストールする必要はありません。
ただし、利用しているPHPやデータベースのバージョンが古い場合や、自分でサーバー環境を構築する場合は、それぞれの要件を確認しておく必要があります。
以下では、各項目について詳しく見ていきます。
PHP 8.3以上
WordPress公式では、PHP 8.3以上の利用が推奨されています。
PHPは、WordPressをサーバー上で動かすために必要なプログラミング言語です。レンタルサーバーによって利用できるPHPのバージョンが異なるため、WordPressを利用する場合は対応状況を確認しておきましょう。
これからレンタルサーバーを選ぶ場合は、PHP 8.3以上を利用できるかを確認するとよいでしょう。
なお、PHPのバージョンを変更すると、利用しているテーマやプラグインによっては正常に動作しない場合がありますので、すでにWordPressサイトを運営している場合は、対応状況を確認してから変更することが大事です。
MariaDB 10.11以上またはMySQL 8.0以上
WordPress公式では、データベースとしてMariaDB 10.11以上またはMySQL 8.0以上の利用が推奨されています。
データベースには、WordPressで作成した記事や固定ページ、各種設定などのデータが保存されますので、WordPressを利用するためには、対応したデータベース環境が必要です。
現在の推奨環境は、次のとおりです。
| データベース | 推奨バージョン |
|---|---|
| MariaDB | 10.11以上 |
| MySQL | 8.0以上 |
これからレンタルサーバーを選ぶ場合は、MariaDB 10.11以上またはMySQL 8.0以上に対応しているかを確認するとよいでしょう。
なお、レンタルサーバーではデータベースがあらかじめ用意されていることが多く、WordPressの簡単インストールを利用する場合は、自分でMariaDBやMySQLをインストールする必要は基本的にありません。
HTTPSへの対応
WordPress公式では、HTTPSへの対応がすべてのWordPressインストールで必須とされています。
HTTPSは、Webサイトと閲覧者の間でやり取りされる通信を暗号化する仕組みです。HTTPSに対応することで、ログイン情報やフォームに入力した内容などが第三者に読み取られるリスクを抑えられます。
WordPressを利用する場合は、SSL証明書を設定して、サイトをHTTPSで表示できるサーバー環境が必要です。
現在では、多くのレンタルサーバーで無料SSLが利用できるため、WordPressを始める際は、無料SSLに対応しているかどうかも確認しておくとよいでしょう。
ApacheまたはNginxが推奨されている
WordPress公式では、WebサーバーとしてApacheまたはNginxの利用が推奨されています。
Webサーバーは、Webサイトへのアクセスを受け付け、ブラウザへページを表示するためのソフトウェアです。ApacheとNginxは、WordPressを動かす環境として広く利用されています。
ただし、WordPressを利用するためにApacheまたはNginxが必須というわけではありません。PHPを実行でき、必要なデータベース環境などを利用できるWebサーバーであれば、WordPressを動かすことができます。
一般的なレンタルサーバーを利用する場合は、Webサーバーもあらかじめ用意されているため、利用者がApacheやNginxを自分でインストールする必要は基本的にありません。
古いPHP・MySQLでもWordPressは動作する?
WordPressは、現在推奨されているバージョンより古いPHPやMySQLでも動作する場合があります。
WordPress公式では、PHP 7.4以上、MySQL 5.5.5以上でもWordPressは動作するとしています。
ただし、これらの古いバージョンはすでに公式サポートが終了しており、セキュリティ上の脆弱性が修正されない可能性があります。そのため、WordPressが動作するからといって、古い環境をそのまま使い続けることはおすすめできません。
これからWordPressを始める場合は、PHP 8.3以上、MariaDB 10.11以上またはMySQL 8.0以上という現在の推奨環境を基準にするとよいでしょう。
すでにWordPressを運営していて古い環境を利用している場合は、利用中のテーマやプラグインの対応状況を確認したうえで、PHPやデータベースのバージョンアップを検討しましょう。
WordPressの動作環境にOSの指定はある?
WordPressを利用するために、Linuxなど特定のOSを使わなければならないという決まりはありません。
WordPress公式が示している主なサーバー要件は、PHPやデータベース、HTTPSへの対応です。これらの条件を満たす環境であれば、OSが異なっていてもWordPressは利用できます。
たとえば、WordPressはWindows Serverにもインストールできます。Webサーバーについても、ApacheだけでなくMicrosoft IISを利用してWordPressを動かすことが可能です。
そのため、レンタルサーバーを選ぶ際に「LinuxでなければWordPressを利用できない」と考える必要はありません。一般的なWordPress対応レンタルサーバーであれば、利用者がOSを意識せずにWordPressを利用できる環境が用意されています。
一方、VPSやクラウドサーバーなどで自分でサーバー環境を構築する場合は、OSだけでなく、PHPやデータベース、Webサーバーなども含めてWordPressの要件を満たしているか確認する必要があります。
レンタルサーバー・VPS・クラウドサーバーの違いについては、「WordPressにクラウドサーバーは必要?レンタルサーバー・VPSとの違いを比較」で詳しく解説しています。
WordPressに必要なメモリ容量は?
WordPressを利用するときの「メモリ」には、サーバーに搭載されている物理メモリ(RAM)と、PHPが1回の処理で使用できるメモリがあります。
この2つは別のものなので、レンタルサーバーのスペックを確認するときは混同しないようにしましょう。
サーバーの物理メモリに公式の最低要件はない
WordPress公式のサーバー要件では、PHPやデータベースなどの推奨バージョンは示されていますが、サーバーの物理メモリについて「○GB以上必要」という最低要件は定められていません。
必要なメモリ容量は、サイトの規模やアクセス数、使用するテーマやプラグインなどによって変わります。
また、一般的な共用レンタルサーバーでは、利用者がサーバー全体の物理メモリを直接管理するわけではありません。
そのため、WordPressサイトを始める場合に「メモリが○GB以上のサーバーでなければ利用できない」と考える必要はありません。
一方、VPSやクラウドサーバーなど、自分でサーバーのCPUやメモリ容量を選択するサービスを利用する場合は、WordPressだけでなく、Webサーバーやデータベースなどが使用するリソースも考慮して構成を決める必要があります。
PHPメモリとサーバーのメモリは別物
WordPressでは、PHPが1回の処理で利用できるメモリの上限も関係します。
WordPressには「WP_MEMORY_LIMIT」という設定があり、通常のWordPressサイトでは40MB、マルチサイトでは64MBが初期値として設定されています。
また、WordPressの管理画面などでは、より多くのメモリを使用できるように「WP_MAX_MEMORY_LIMIT」が設定され、初期値は256MBです。
ただし、これらはサーバーに搭載されている物理メモリの容量ではなく、WordPressがPHPに対して使用を要求するメモリ量です。
また、実際に利用できるPHPメモリは、レンタルサーバー側で設定されているPHPの「memory_limit」によって制限される場合があります。
WordPress公式のHosting Handbookでは、PHPのmemory_limitについて、シンプルなWordPress環境では128MB、一般的なサイトでは256MBを目安としており、WooCommerceやページビルダーなどを利用する負荷の大きなサイトでは512MB以上が必要になる場合があるとしています。
レンタルサーバーを利用する場合は、PHPで利用できるメモリ上限が公開されていれば、あわせて確認しておくとよいでしょう。
特に、多くのプラグインを使用するサイトや、WooCommerce、ページビルダーなどを利用する場合は、より多くのPHPメモリが必要になることがあります。
WordPressはPostgreSQLに対応している?
WordPressは、標準ではPostgreSQLに対応していません。
WordPress公式では、WordPressで利用できるデータベースとしてMySQLまたはMariaDBを案内しており、PostgreSQLなどその他のデータベースは現在サポートされていません。
そのため、一般的なWordPressサイトを運営する場合は、MySQLまたはMariaDBを利用できるサーバー環境を選ぶ必要があります。
PostgreSQLを利用するための外部ツールや特殊な方法が検討されることはありますが、WordPressの標準的な構成ではありません。
テーマやプラグインなどとの互換性にも影響する可能性があるため、通常のWordPressサイトではMySQLまたはMariaDBを利用するのが基本です。
レンタルサーバーを利用する場合は、WordPress向けにMySQLまたはMariaDBがあらかじめ用意されていることが多いため、データベースの種類を自分で選ぶ必要は基本的にありません。
レンタルサーバーを選ぶときに確認したいポイント
WordPress対応のレンタルサーバーを選ぶ場合は、サーバー要件を一つずつ細かく確認しなくても利用できることが多いですが、次のポイントは確認しておくと安心です。
- WordPressが推奨するPHPのバージョンを利用できるか
- MariaDBまたはMySQLの対応状況
- HTTPSに対応しているか
- WordPressの簡単インストール機能があるか
- PHPのバージョンを変更できるか
特にPHPは、WordPress本体だけでなく、テーマやプラグインの動作にも関係します。
新しいPHPを利用できるだけでなく、管理画面からバージョンを変更できるかも確認しておくとよいでしょう。
また、多くのレンタルサーバーでは、WordPressの簡単インストール機能を利用できます。
簡単インストールに対応していれば、PHPやデータベースなどを自分で設定しなくても、必要な環境にWordPressを導入できます。
レンタルサーバーの選び方については、「WordPress初心者向けレンタルサーバーの選び方|確認したい8つのポイント」で詳しく解説しています。
実際のインストール方法については、「レンタルサーバーにWordPressをインストールする方法|簡単インストールと手動の違いも解説」も参考にしてください。
まとめ
WordPressを利用するには、PHPやデータベース、HTTPSなどのサーバー要件を満たした環境が必要です。
現在のWordPress公式では、PHP 8.3以上、MariaDB 10.11以上またはMySQL 8.0以上が推奨されており、HTTPSへの対応も必要です。
また、WordPressを利用するために特定のOSが必須というわけではなく、サーバーの物理メモリについても「○GB以上」という公式の最低要件は定められていません。
一方で、PHPが利用できるメモリ上限はWordPressの動作に関係するため、レンタルサーバーを選ぶ際PHP 8.3以上認しておくとよいでしょう。
PostgreSQLはWordPressの標準環境ではサポートされていないため、一般的なWordPressサイトではMySQLまたはMariaDBを利用するのが基本です。
これからWordPressを始める場合は、最低限動作する古い環境ではなく、現在推奨されているサーバー環境に対応したレンタルサーバーを選ぶようにしましょう。



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